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只野の書く小説はファンタジー小説だった。
先ず只野が書き始めたのは“まほろば“を舞台にした小説だ。
夢をそのまま描くのではなく、新たなキャラクターが主人公のほのぼの系冒険活劇だった。
夢で見ている壮大な冒険は、今の只野には描けるものではなかったからだ。
それでも主人公は人族と兎族のハーフの女の子だ。
年は15歳。
只野がTRPGをするときもっともよく使う設定のキャラクターだ。
彼女を取り巻く環境や設定、個性豊かな友人などを丁寧に描いて行く。
胸躍るこの世界の冒険は、只野にとってのオアシスだった。
一人称の小説で、キャラクターになりきり冒険を楽しむ。
人に見せるためと言うより、自分が楽しむための創作活動だったのだ。
趣味さえ億劫に感じていた只野に光が差し込んだ。
そんな作品だった。
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