第1章 小説~物語~

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  只野の書く小説はファンタジー小説だった。 先ず只野が書き始めたのは“まほろば“を舞台にした小説だ。 夢をそのまま描くのではなく、新たなキャラクターが主人公のほのぼの系冒険活劇だった。 夢で見ている壮大な冒険は、今の只野には描けるものではなかったからだ。 それでも主人公は人族と兎族のハーフの女の子だ。 年は15歳。 只野がTRPGをするときもっともよく使う設定のキャラクターだ。 彼女を取り巻く環境や設定、個性豊かな友人などを丁寧に描いて行く。 胸躍るこの世界の冒険は、只野にとってのオアシスだった。 一人称の小説で、キャラクターになりきり冒険を楽しむ。 人に見せるためと言うより、自分が楽しむための創作活動だったのだ。 趣味さえ億劫に感じていた只野に光が差し込んだ。 そんな作品だった。
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