67人が本棚に入れています
本棚に追加
小学生の遊びというだけあって、真面目に取り組むのも少々気が引けるが、本気で嫌がるほどのものでもない。
どちらかといえば、この手のオカルトものには興味もある。
少しだけ、なにか期待している自分もいた。
朔と悟は、まあ涼太の我儘に付き合うか程度の気持ちだろう。
そのとき、ゆっくりと10円が動き出す。
「おお!? 動いた! ケイちゃん、朔、悟! 10円、動いてる! 『はい』だって!」
「あー、はいはい、動いたな」
朔と悟は適当に相槌を打つ。
どうせ誰かが気を使って動かしていると思っているのだろう。
だが俺は違った。
俺達の指の上から10円を押さえつける1本の手――
「うわぁあああっ!!??」
俺は慌てて逃げるように手を引く。
勢い余って、後ろに椅子が傾いた。
「おいケイ、リアクション良すぎだろ」
朔が傾いた椅子を支えてくれたおかげで、なんとか倒れずに済む。
「動いたってなに? 動かしたの間違いでしょ」
悟はあいかわらずスマホに目を向けたまま。
「マジ、誰だよ、動かしたやつー」
「それがわからないから楽しいって遊びなんじゃねぇの?」
「え、なにそのくだらない遊び」
3人はなんでもないことのように盛り上がっているが、俺にはそれが理解出来なかった。
どうしてそんな風に笑っていられるのか。
最初のコメントを投稿しよう!