1章 神さまとの出会い

6/14
前へ
/88ページ
次へ
「じゃ、またなー」  放課後。  涼太も朔も悟も電車通学で、自転車通学の俺とは違う。  教室を出て行く3人を見送り、俺は1人、のんびり帰り支度をする。  そのとき、なにか妙な気配を感じた。  顔をあげると、ふわふわ浮遊する例の狐もどきと目が合ってしまう。 「あ……」  思わず声を出す俺を見て、狐もどきは距離を詰めてくる。 「あの、あの! 私の声、聞こえますか!?」 「……まあ一応」  どうやらこいつは日本語をしゃべれるらしい。 「見えるんですね! よ、よかったですー! さっきから誰に話しかけても聞いて貰えなくて……」  涼太達の反応を思い返す。  おそらく、あいつらには見えていない。  というより、俺だけに見えている存在のようだ。  幸い、教室にはすでに俺1人しかいない。  1人でぶつぶつ話していた所で、怪しむ人もいないだろう。 「君って、動物霊とかそういうやつ?」 「ち、違います! 私は人間の皆様にお告げをする役目を担っている者でして……」 「お告げ? なにを教えてくれるんだ?」 「それはまだ、どういったお告げを求めていらっしゃるか、伺ってないないので」 「ふーん」  なんだか難しそうな話だなと、適当に流す。     
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加