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「それじゃあ俺、帰るから」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
狐もどきは、俺を引き止めるように目の前に飛び出してくる。
「あなた達が呼び出したんじゃないですか! ちゃんと責任持ってください!」
「俺達が呼び出した……?」
そういえばこの狐もどき、コックリさんをした直後に現れた。
ということは、こいつがコックリさん……ということか?
「コックリさんって、こんなかわいい狐だったんだな」
「か、かわいいだなんて、失礼ですよ! それは男の子に使う言葉ではありません!」
「お前、雄だったのか」
「雄って……低俗な動物みたいに言わないでください! 神さまなんですから!」
「神さまなのか!?」
狐もどきは、威張るように胸を張って見せる。
正直、かわいい以外の感想はない。
「あなた達は、神のお告げが聞きたくて、私を呼び出したのでしょう?」
「いや……」
涼太が妹と話すネタを作るためだと思う。
もしくは、ペットロスの俺を元気づけるための遊び。
そういえば、俺が飼っていた犬も、こんなもふもふの手をしていた。
つい、引き寄せられるように手を伸ばす。
だが、触れることはなく、すり抜けてしまった。
「うわっ!」
そうだ、こいつは宙に浮く狐では無い。
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