第三話

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 結局、オーナーの店に行けるのは予想通りの土曜日になってしまった。  用意してくれた昼食を食べながら、隣で興味深そうに昼の情報番組を眺めている翠に告げる。 「文秋さんが私をお迎えくださったお店ですか?」 「いろいろ世話にもなってるからね」  翠の目元に力が入ったように見えた。自身が売られていた店だから、やはり気になるのだろう。 「店に行くなら事前に教えてよね。そうしたら連れてってもらうようにチアキに言ったのに」  ちゃっかり遊びに来ていた、というより自分の主ぶりチェックに来ていた藍が軽く睨んでくる。 「チアキ?」 「あんたがオーナーって言ってる僕の主の名前だよ。何か書く物ある?」  鞄から常備しているメモ帳を取り出して渡す。西洋の服を身につけた青年が現代の道具をいじっている光景がどこかミスマッチで面白い。  返ってきた紙面には、「天谷千晶(あまやちあき)」という文字が書かれていた。 「ついでに言うと、千晶もこのマンションの住人だよ。この上の部屋に住んでるの」  さらっと、とんでもない爆弾を落とされた。  藍は呆れたように溜め息をついている。     
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