第二話

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 視界がぐらついたような感覚に襲われる。本体に、何も影響が出ないわけがない。ただ、ゼロではないとしたら? 「……文秋、さん」  気持ちの揺れを制止するように、弱々しい声が響いた。 「このようなことに、なってしまい……重ね重ね、申し訳ございません。完全に、私の落ち度です」  起き上がろうとする身体を慌てて押さえた。  心配をかけまいとするためか、必死に口端を持ち上げようとする姿が痛々しい。そんな気遣いは……してもらう資格なんか、ないのに。 「もういい加減にしなよ兄さん!」  背後から、突然別の声が割り込んできた。  反射的に振り返ると、翠と瓜二つの顔が、はっきりとした苛立ちを刻みながら立っていた。 「……貴族?」  少年と表現してもふさわしそうな、翠よりも幼い顔つきをしている。胸元の白いフリルが特徴の、紺色を基調とした貴族のお坊ちゃん風の服装に身を包んでいる。  ……混乱が過ぎて、逆にまじまじと観察してしまった。 「ちょっと、君どっから入って」 「いいからあんたは黙っててくんない?」  ぴしゃり。そんな擬音が聞こえてきそうな断絶ぶりに文字通り言葉をなくす。  明るい茶髪の青年は翠に近寄り、覗き込むようにしゃがんだ。 「……いいと、言ってるだろう。私から説明して、今夜にきちんとした浄化を」     
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