第一話

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 悪徳商法とやらに引っかかってしまったかもしれないと、焦りと戸惑いに支配されていく自分を少し見つめた彼女は、納得したようにひとつ頷くとアクセサリーが並ぶ棚に向かった。 『パワーストーンなんて信じられないとお思いなのを承知で……ぜひ、これを見ていただきたいの』  その言葉と共に見せてくれたのは、数珠タイプのブレスレットだった。使われている石は水晶、アンバー――和名で琥珀だ――、エメラルドと、疎い自分でも耳にしたことのある名前ばかりだった。 『癒やし効果に特化したブレスレットなのだけど、メインはこのエメラルドよ。とても綺麗でしょう?』  女性は二つのアンバーに挟まれたエメラルドを指差した。  パワーストーンなんて、単なるインチキだ。災難から守ってくれますとか、魅力的にしてくれますとか、魔法みたいな現象など起きるわけがない。確かにそう思っていた。  だが、ブレスレットを受け取った瞬間、何とも言えない不思議な感覚が手のひらから生まれ、全身に染み渡っていった。特に他の石よりも一回り大きい、透き通った淡いグリーンから目が離せなくなった。 『パワーストーンに初めて触れたお客様には胡散臭く聞こえるかもしれないけど……今、気持ちがふっと和らいだのがわかるわ。エメラルドには、癒やしの力があるの』  とても、疲れているでしょう?     
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