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心臓が高鳴った。彼女に、自分でも気づいていない部分までも見透かされているような気持ちになった。
改めて、手に載せられたブレスレットを見つめた。目を奪われたエメラルドは、あたたかい眼差しに似た光を放っていた。
『これ、ください』
思わず、そう告げていた。
万超えする値段を聞かされても、そのブレスレット以外考えられなかった。
それから三ヶ月ほどが経ったが、肌身離さず身につけていた。
あのオーナーの言葉を証明するように、自分でも驚くほど心身のストレスが減ったのだ。
日々の生活は、購入前と何一つ変わっていない。だからこそ余計に、パワーストーンの力を信じ始めていた。
『あのエメラルドと浅黄さんは、よほど波長が合ったのね。私にも覚えがあるから、わかるわ。そういうのを聞くと、あながちインチキとも言いきれないんじゃないかなって思うのよ』
すっかり顔なじみとなった店「BANDE STONE《バンデ ストーン》」のオーナーの言葉も深く心に染み入る……と思っていたが、だ。
「えーと、君の話をまとめると……俺がブレスレットというかエメラルドを大事に大事にしていた気持ちが伝わって、さらに相性ぴったりだったから実体化できた、ってこと?」
「さすがご主人様! その通りでございます」
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