第四話

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第四話

「先輩、もしかしてもしかすると、彼女ができたんじゃないですか?」 「は?」 「だって、やっとブレスレットしてきたと思ったら今日はしてないし。だから『私とブレスレット、どっちが大事なの!』って日夜痴話喧嘩を」 「違う! お前のその妄想力はどこから出てくるんだよ!」  二人だけで残業に勤しんでいるから、現実味のない妄想など生まれてきてしまうんだ。早いところキリのいい部分まで終わらせないと、翠にも無駄に心配をかけてしまう。  日曜日に、あるルールを設けたいと提案した。  平日のうち、一日は休息日、いわゆる浄化メインの日を作ること。  翠は予想通りの反論をしてきたが、もちろん想定済み。あらかじめ購入していたスマートフォンをプレゼントして、互いに連絡し合う案も付け足した。  これはかなりの威力を発揮したようで、まるで宝物を扱うような手つきで端末を眺めていた翠だった――が、まだ粘られてしまった。  困り果てた末に取った手段は、「情に訴える」というシンプルながら強力な方法。     
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