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第五話
「僕、決めたんだ。これからしばらく、あんたと兄さんを見張らせてもらう」
朝食を食べ終わった頃に予告通り現れた藍は、ぼんやりした頭に活を入れるような声でそんな宣言をしてきた。
「見張るって……まさか、ここで暮らすつもり?」
「違うけど、近いかもね。僕の目的は兄さんに余計な力を使わせないようにすることと、あんたにもっとパワーストーンの主としての自覚を持ってもらうことだもん」
微妙に頭痛がしてきた。ただでさえ昨夜の言い合いを引きずっているのに、さらなる異分子がやってきてしまった。
「藍、それは天谷様にご了承いただいているのか?」
問いかけた翠の声は硬い。藍は一瞬怯んだ様子を見せたが、気丈に見返した。
「も、もちろん。僕ら化身のことをちゃんと教えるためだって言ったら、許してくれたもの」
天谷が謝罪のメッセージを添えていた理由がわかった。翠も呆れたように息をつく。
「天谷様にもご迷惑がかかる。文秋さんと私のことはいいから、主をきちんとお護りするんだ」
「その千晶に、兄さん一人でヒーリングやったって聞いてびっくりしたんだよ! 石七つ分の力を使った自覚、ないわけじゃないよね?」
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