0人が本棚に入れています
本棚に追加
左手にカップ麺、右手にマウス、時間は零時をまわったところ。ダブルクリック。
白い背景に、女の顔がずらりと並ぶ。色とりどりの文字で、ハートマークの飛ぶ誘い文句。顔の下には、配信中という文字が点滅している。
ざっと目を通して、またダブルクリック。切り替わった画面には、女の顔がアップで映し出され、甘ったるい声で話しかけてくる。流れていく無数のコメント。べっとりと粘ついた視線を浴びて、カメラが徐々に下がっていく。
しばらく眺めていると、左下にポップアップが表示される。『るるさんが配信を開始しました』。迷わずクリック。
画面に現れたのは、短いスカートを履いた女の下半身。短く息を吸う。むっちりとした太もも、つるつるの丸いひざ、すっきりと伸びるふくらはぎ。雪のように白く輝く足には傷ひとつない。
「こんばんわあ。るるだよお」
一斉にコメントが流れていく。
『るるちゃん会いたかったー』
『こんばんは。今日もカワイイね』
『キレイだよ、るる』
同じような言葉が溢れかえる。見つけてもらえますように。気づいてもらえますように。必死のアピール。ぼくは静かにそれを見守る。
『るるちゃん、パンツ見せてよ』
配信が始まってからしばらくすると、必ずこういうヤツが現れる。コメントが落ち着く頃を狙った、欲望まみれのクズ野郎。即通報。
最初のコメントを投稿しよう!