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 左手にカップ麺、右手にマウス、時間は零時をまわったところ。ダブルクリック。  白い背景に、女の顔がずらりと並ぶ。色とりどりの文字で、ハートマークの飛ぶ誘い文句。顔の下には、配信中という文字が点滅している。  ざっと目を通して、またダブルクリック。切り替わった画面には、女の顔がアップで映し出され、甘ったるい声で話しかけてくる。流れていく無数のコメント。べっとりと粘ついた視線を浴びて、カメラが徐々に下がっていく。  しばらく眺めていると、左下にポップアップが表示される。『るるさんが配信を開始しました』。迷わずクリック。  画面に現れたのは、短いスカートを履いた女の下半身。短く息を吸う。むっちりとした太もも、つるつるの丸いひざ、すっきりと伸びるふくらはぎ。雪のように白く輝く足には傷ひとつない。 「こんばんわあ。るるだよお」  一斉にコメントが流れていく。 『るるちゃん会いたかったー』 『こんばんは。今日もカワイイね』 『キレイだよ、るる』  同じような言葉が溢れかえる。見つけてもらえますように。気づいてもらえますように。必死のアピール。ぼくは静かにそれを見守る。 『るるちゃん、パンツ見せてよ』  配信が始まってからしばらくすると、必ずこういうヤツが現れる。コメントが落ち着く頃を狙った、欲望まみれのクズ野郎。即通報。
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