王女の矜持

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そこには、一組の男女しかいなかった。 「それではわたくしも御一緒にアラディス国へ行くのですか?」 「そうですよ、我が姫。主は私がいないとやりたい放題で、しかも今回は『華』を同伴される。国へ帰れば寝所から出てこなくなる可能性もありますからね」 男は想像に容易いそれを危惧し、息を吐いた。 「この国は妹姫にお任せなさい。じきにローベント様もいらっしゃる。あの方に娶られ子を成せば、血脈は途切れず受け継がれる。何ら問題はありません」 「………ですが」 「王家の威信ですか?」 「……………」 「主も考えていらっしゃるでしょう。悪いようにはいたしません。さあ、お話はこれくらいして集中なさい」 ジルはそう言うと、足元に屈んでいたソフィアの頭をそっと撫でた。 「きちんと奉仕できなければ、ご褒美は差し上げられませんよ?」 「………はい」 自分を不安げに見上げていたグリーンの瞳がゆるゆると下ろされる。 細い指が添えられていたそこに、唇が触れ、そこから出た赤い舌がそろそろと這う。 「我が姫は中々優秀でいらっしゃる。……そうですよ、教えた通りにするのです」 ほんのりと屹立したそれを、丹念に根本から舐め上げた。 頭上から甘い吐息が漏れる。 褒めるように頭を撫でられ、ソフィアは奉仕を続けながらうっとりと瞼を閉じた。
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