第11章

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「まったく、ワインで煮ようなんて言った奴は誰だ?」 「本で読んだんだよ。でも違った。ワインに漬け込むんだって――2、3日。そうやって臭みを抜く」 ベッドルーム。 4人で囲んでもまだ余りあるベッドの真ん中には 17インチの巨大なピザが。 「どうりでマズかったはずだ!冷凍ピザを買っておいて良かった」 冬馬と響也のやり取りを聞いて 口をゆすぐように由莉はグラスの赤ワインを飲み干した。 「ああ、羽の毟り方も酷いもんだった」 「だって――」 僕は意地悪く笑う冬馬を睨みつける。 途中から怖くなったんだ。 美しい羽が台所の床一面に散り 僕の足元を埋めた時。 僕は己の罪深さに眩暈がした。
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