第11章

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「黙祷を――」 まだ所々羽が刺さったままの 不気味なワイン色に染まった孔雀が 食卓にのぼったのはほんの数時間前のことだ。 僕らは銀食器に盛られた孔雀の為に 貴族のように正装して祈りを捧げた。 キャンドルを灯し厳かな空気の中で 「では――」 冬馬がナイフを入れたんだ。 ドロンと中からレバーのようなものが出た。 それでも僕らは紳士だ。 襟元に白いナプキンを引っ掻けると 涼しい顔して皿がサーブされるのを待った。 「さあ、どうぞ」 4つの皿を配り終えると えもいわれぬ臭いがした。 だが僕らは互いをけん制するように 笑顔でナイフとフォークを手に取った。
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