第11章

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「――では気を取り直して乾杯」 悪臭の消え去らぬキッチンから逃げ出し 大きなピザとワインと共に僕らはベッドルームに引き上げた。 「死んでしまった勇敢で好色な孔雀に」 チンと4つのグラスが重なる。 「孔雀の群れは1匹の雄に数匹の雌で成り立っているがここは違う」 「何が言いたい?」 由莉はあまり酒に強くないようで トロンとした瞳でワイングラスを回しながら ベッドの上でさえ学者然とした兄を見やった。 「雄が4匹だ」 僕が言うと 「果たしてそうか?」 羽枕の山に身を沈めながら ハンサムな先生は言った。
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