第11章

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「他の男のキスでそんな顔されると――やっぱりちょっと嫉妬するな」 耳元で響也が囁いた。 「え……」 いつの間にか僕の左右を囲むようにして 冬馬と響也は僕の顔を覗き込んでいた。 「そんなんじゃ先が思いやられるな?お兄ちゃん」 冬馬はクスリと笑うと 「――こちらもシェアして食べるのに」 ベッドの真ん中を占領していたピザの箱を 床に滑り落として言った。 「歯を立てないでよね、先生。弟はね、ピザ生地よりずっと柔らかいんだから」 「分かってるさ。舐めただけで溶けるんだろう?」 チーズピザの代わりに ベッドの真ん中に据えられたのは僕だ。
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