見えなくともなんとなく。

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ベッドに寝かせて、濡らしたタオルを頭にのせる。 「とりあえず、これだけしておけば大丈夫かな」 軽く処置をしてから、悪魔教典を開き、メモと照らし合わせていく。 「呪歌に、記憶障害に、昏睡に…………」 照らし合わせること十数分。 「いやっ!いやだっ!」 ヘレネが悪夢にうなされ始めた。 ルーカスが手を握って話しかける。 「聞こえてるかは分からないが、私はここにいる。落ち着いて、大丈夫だから」 それを言った瞬間、ヘレネの表情が和らぐ。 「ルーカスさん、私は、助かりそうですかね……」 「最初に言った通りだよ」 「じゃあ……」 「ああ、その呪いを解いてあげよう」 「だから、少しだけ手を放すよ、あとカメラを借りてもいいかい?」 「はい……」 その言葉を聞いてルーカスが意を決して蝙蝠の群れに変貌する。
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