見えなくともなんとなく。

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「コロスゥ!」 悪魔の足音だけが聞こえる。 「どこにいるんだ……」 ルーカスが周囲を索敵しようと見回すと、 自分の右腕と左足が宙に浮いて近付いてきていた。 (あれは……私の四肢…………!) 敵の位置を把握したルーカスは、 「待っていてください、今から呪いを解きます!」 そう叫んだ。 「オマエニオレハコロセナイィ!」 そういって悪魔が槍をルーカスに向ける。 「キエロジャマモノオオオオオオオオオオオ!」 突進してくる悪魔に対してルーカスは真正面から飛び掛かった。 悪魔の槍がルーカスの下半身を抉り取る。 「邪魔だぁ!」 ルーカスが貫かれた下半身を爪で上半身から切り離し、慣性で前に吹っ飛ぶ。 「クソガァ!」 悪魔がそれを見てルーカスに向かって大口を開ける。 「人の世の中にはこんな言葉があるそうだ!」 悪魔の噛みつきを左腕で受け、しがみついた状態で背後に回る。 「”人を呪わば穴二つ”ってね!」 そしてルーカスは悪魔の首筋に牙を突き立てた。
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