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「とりあえず、君は呪いを解いてほしいと?」
「はい……」
彼女がそう言って服を脱ぐ、そして指で背中を指さす。
「最初はここらへんの模様からでした」
彼女の背中には火傷の痕の様なものが広がっていた。
「けど、今では目が見えない位に……」
「なるほど、それでここに来たと」
「ここは診療所だと聞きまして、相談に……」
その言葉で幽霊と吸血鬼が固まった。
そして幽霊が紙を取り出して吸血鬼と意思疎通を図る。
『ここは診療所だったのか』
『こんな山奥に診療所なんかないよ』
『山の麓には一個あるぞ!』
『昔はよくそこに輸血パック飲み行ったなぁ』
『お前マジで何してんだよ!』
『君に言われて血を飲むの辞めたんだよ』
「あのー?」
二人の談義が彼女の一声で終わりを告げた。
「あぁ、大丈夫ですよ」
吸血鬼が話を切り上げる。しかし、
「大丈夫なんですか!?治るんですか!」
言葉は難しく”大丈夫ですよ”は変に解釈されてしまった。
「えぇ!?いや」
「あっ……そうですよね、すみません」
落差の激しい彼女を見て吸血鬼に妙案が浮かんだ。
「いやいやいやいや、尽力いたしますから!」
「しかしお金は……」
「いいので明日から来てください」
「えっ?あ、は、はい!」
吸血鬼は人肌恋しい時期であった。
「ではまた明日!」
「え、えぇ、また明日です!」
彼女が帰るのを二人で見送る。
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