見えなくともなんとなく。

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「じゃあどうやって治すんだ?」 二人は書斎で本を漁っていた。 「相手は不死身で毒持ちの悪魔だよ?そう簡単には見つからないさ」 「悪魔なのか」 「悪魔しかこの世に呪いをかけられるものは居ないよ」 吸血鬼が手を差し伸べると幽霊が本を投げる。 「そうかな?一つ思いついたのがあるけど却下だよ?」 「なんでだ?」 「私だってまだ生きたいさ」 「それは駄目だな、お前の頼みならおれが犠牲になるぜ」 幽霊が自分の胸を叩く。 「やめてくれ、罪悪感に苛まれる」 「本当に優しい吸血鬼様だな」 「うるさいよ、それにこんな時間だし寝ようか」 時計の針はすでに十二時を指していた。 吸血鬼は棺桶に、幽霊は墓場に戻っていった。
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