見えなくともなんとなく。

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「すみませーん!」 彼女が扉の戸を叩く。時計はまだ朝六時、二人が走ってきた。 「さぁ、どうぞ!」 「こんな早くにすみません……朝食べました?」 「実はまだ……」 吸血鬼がそういうと彼女が鞄の中から袋を取り出す。 「恐らくこれですけど……」 そういって彼女の開けた袋にはクッキーが出て来た。 「なにが入ってます?」 「クッキーが入ってますね」 「なら良かった!」 彼女は嬉しそうにしてこちらにそれを差し出した。 「いいんですか?」 「お世話になるので焼きました!」 「目も見えないのに焼けるんですか?」 「なんとなくわかるようになったんですよ」 「そうなんですね……では、いただきます!」 そういって吸血鬼は口にそれを運ぶ、噛んで砕ける食感にバターの香り。 「美味しいですね!」 「母から教わったので自信作です!」 「素晴らしい人ですね!」 そう言っていると天井から幽霊が垂れ下がってきた。 そして幽霊が3個持って行った。 「ありがとうございますってあれ?」 彼女がクッキーの減りように気が付く。 「す、すみません、つい食べ過ぎたようで……」 「いえいえ、大丈夫ですよ!」 焦って誤魔化す吸血鬼が話を振った。
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