見えなくともなんとなく。

8/28
前へ
/28ページ
次へ
「この飲み物は何ですか?」 彼女はカメラを構えて飲み物を撮っていた。 『ダージリンって答えろ!』 幽霊が大きな紙にそう書いている。 「それはダージリンっていう紅茶だよ」 「紅茶ですか!?頂いても?」 「良いですよ、お客さんですし」 そういうと彼女はニッコリと微笑んで、 「今日、12月26日、初めての診察で初めての紅茶を飲みます!」 喋りながら動画を撮り始めた。 「くださったのはこちらの先生です!」 彼女がカメラを吸血鬼に向け、吸血鬼はつい手で隠してしまう。 「あの、そういえばお名前は……?」 「えぇっ!?あ、あぁ、名前ね、名前か」 『ルーカス!お前は今日からルーカスだ!』 またしても幽霊の援護が入った。 「わ、私はルーカスと言います、よ、よろしくー」 「ルーカスさんですね!そう!このルーカスさんから紅茶を頂きました!」 「私も、その、彼女からクッキーを頂きました」 「まだまだ道のりは長いけど、頑張っていこうと思いまーす!」 そう締めくくって彼女はビデオを下した。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加