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見えなくともなんとなく。
「もうそろそろクリスマスか」
窓に積もる雪、男が一人で外を眺めながら感傷に浸る。
「何しみったれた顔してんのお前?」
突如、屋根裏から出て来たのはこの屋敷の居候だ。
「いいだろ少しくらい、私にだって人肌の恋しい時があるのさ」
「そういうお前は人間じゃないじゃん?」
「そういう君は”元”だろう?」
「お前は”元”ですらないがな」
両者の堪忍袋の緒が切れた。
「人肌感じる肌すらないだろう」
「人肌恋しい?吸血対象が恋しいか?」
「さっさと人間に憑いていけ幽霊!」
「貧血でぶっ倒れろ!吸血鬼!」
聖夜に二人の化け物は喧嘩していた。
そうして待つこと二十分。
「悪霊退散!悪霊退散!」
「ニンニク!十字架!」
二人の知能が子供に戻ったそんな時。
ドンドンドンドンッ!
大きく扉が叩かれた。
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