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でも、正気このオヤジの相手は出来ない。
やっぱり隙をみて逃げよう。
でもどうやって……
そうだ。薬を飲ませれば……
「何か飲みますか?」
「ああ。飲むよ。」
「水割りを。」
かき混ぜながら薬を手の中に隠した。
集中するあまり思ったより沈黙が続いた。
オヤジが背後に近づいていたのに気づかなかった。
「さやかちゃん?そんなに丁寧にやってくれるのかい?」
声をかけられ、薬を自分のジュースに落としてしまった。
「びっくりした。」
「どうして驚くんだい?」
「ううん。何でもない。大丈夫。」
二人ともテーブルに座り直したが、私は、睡眠薬を入れるはずだったウイスキーのグラスをついついじっと見つめてしまう。
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