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プロローグ
ものをおいしそうに食べる女子高生はエロい。
俺の目は、食堂の中央で一人チーズケーキを食べている女子生徒に釘付けになっていた。
ストレートの黒髪ロングで、端正な顔立ち。他の生徒みたいにスマホや本を見ながらではなく、真剣に食べている。
普段は笑わなさそうなその顔をほころばせ、ゆっくりと味わいながら。
それが俺だったら?食べられているのが俺だとしたら?咀嚼される三十五歳の肉体。そろそろ衰えが出始めたが、それでも常に鍛えているから赤みは多く、味は濃厚なはずだ。
若く世間知らずで純粋な彼女たちが、俺の全てをどう味わうのだろうか。
――ああ、興奮してきた。
「おっさん、早くカレーくれよ」
その声ではっと気付く。
ここは学食で、スタッフの俺は白飯を乗せた皿にカレーをかける寸前で、あの彼女に見入ってしまっていたのだ。
「ハラ減ってんだよ。ちゃっちゃとしてくれよ」
「おっさん、早くしろよー」
「……すいませんでしたァ……!」
腹立たしい声の相手を睨み付ける。ヤジを飛ばしていた三人組の男子生徒たちが怯えるような目で黙ったのを見届けると、またカレーをかけて皿を渡す仕事に戻った。
そう。俺はいわゆる「給食のおじさん」だ。
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