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久しぶりに平日に休みが取れたので、街に出かけてみた。どこかで彼に偶然会えたらいいなと願ってみた。でもそんな簡単に見つかるはずがない。偶然なんて、人生で2度もあるはずがない。会いたいときには、会えない。万が一会えたとしても、その後にはおとぎ話のお姫様のような都合のいいことなんて起こらないことを、私は知っていた。人生とはそんなものだ。
彼の音楽と共にふらふらとあてもなく歩く。トレンチコートを腕にかけて、風が心地よい。アスファルトジャングルに珍しく、ひらひらと花びらが舞った。花びらに導かれるように、満開の大きな桜の木がある公園を見つけた。甘い香りが全身を包んだ。桜の木の周りには綺麗な花々が咲いていた。
「天川」
懐かしい声で呼ばれた気がして顔をあげた。周りを見渡すと誰もいない。代わりに桜を独り占めした大きな窓があった。近くに寄るとカフェのようだった。いい場所をみつけた。嬉しくなった私はそのカフェで読書をしようと決めた。
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