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私は生まれて初めて1人でLIVEハウスに行った。一向に梅雨明け宣言されない、7月の長雨、一刻も早く雨宿りできる場所に逃げたくなった。スマホを見ながらLIVEハウスを探した。うろうろと歩き回る。何度か同じ道をぐるぐる回ってしまったようだ。
ようやくLIVEハウスに、につかわしくないガレージを見つけた。私は思わず走ってしまった。入り口の前には出演者の名前が書いてある小さな看板が置いてあった。辺りに誰もいないことに少しの不安を感じつつ、呼吸を整えながら私は恐る恐る階段を降りた。
そこには大きな重い扉があった。思い切って扉を押すと中に数人の観客とスタッフらしき人がいた。眩しそうにこちらを見つめた気がして、押す私の力が弱まる。重い扉は私を押し返えそうとゆっくり閉じかけた時、中から男の人がスマホを耳にあてながら強く扉をひいた。
すみません、どうぞ。男の人は、目と手で私を中へ促してくれた。
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