0人が本棚に入れています
本棚に追加
「チケットですか?」
奥の方から女の人の声がした。私と目があうと、さらに続けた。
「1枚ですか?」
私はうなずいた。
「3000円にドリンク代別で3500円です。」
お金を払って、コインをもらった。スタッフが事務的に説明をした。このコインはドリンクと交換できるらしい。コインをカクテルに交換して、カクテルを片手に私は鉄筋の階段を降りた。一段降りるたびに、カタンカタンと音がする。その音がするたびに、私は見られている感覚に陥った。気にしすぎだ、自分に何度も言い聞かせて、私は下まで降りてみた。そこはコンクリートに囲まれた正方形の小さな空間だった。客席には立食用のテーブルが数本置いてあった。観客はまばらで、音楽を聴いたり、お酒を楽しんでいた。意外なほど外の肌寒さを忘れるくらい、蒸し暑い空間だった。
最初のコメントを投稿しよう!