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「いやいやいや、ふつう守護霊はそんなことしないよ。それをしているのは君に憑いた得体の知れない存在だ。……今はまだ『守護霊』が護って鼻血で済んでいるみたいだけど、そのままだといつか血液が無くなる。君は、あまり血を出さないように工夫して生活した方が良いと思う。すでに何かに魅入られている」
少年の話につい口をは挟んでしまった。
にこにこと愛想よく話してくれたかれ彼は途端に不機嫌そうになる。
「だから、それが守護霊様なんですって。お兄さんがツイてないからって僕の守護霊様を否定するのはやめてください」
「いやでも」
「クラスメートのみんなはわかってくれました。
お兄さんににだって守護霊がいるはずですし、きっと大きな怪我をしたら実感しますよ。お兄さんのは力が弱いか放任主義なんです。だからといって信じてあげないのは可哀想ですよ」
「その、守護霊様のお話は、だれから?」
「祖母からですよ。
僕のおじさんは若くして亡くなりました。死因は失血死。おじさんの遺体は不自然に血抜きされた状態で見付かって、深海魚のように不健康に白くにごった色だったと聞きました。お兄さんが心配しているのはそういうことでしょう?」
「…………そうか、犠牲者が」
「でも大丈夫。お婆ちゃんは言っていました」
『でもあなたとあの子は違うから、ね?』
「おじさんは何かう動く前に願掛けのように自傷する人でした。でもそんなのは不健康です。ふつうに生きて、ふつうに怪我をする程度なら守護霊様は小さな幸運で僕らを支えてくれるんです」
「…………」
「僕は進学したらサッカー部に入ります。毎日怪我もたくさんするでしょう。でも血を見ることをおそれて何もできないのはどうかと思いますよ」
「君はそれを信じ続けるんだね。
……でも、そもそも、俺には君の言う『ラッキー』が鼻血に関係するものとはと思えないよ」
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