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第1章:安楽死許可法の施行
北朝鮮のミサイルが、北海道紋別市の鴻之舞鉱山跡に誤爆した一週間後。
開戦するかどうか、政府の判断を待っている間に、安楽死許可法が施行された。
北朝鮮は「あれは誤爆だ。日本を狙って打ったのではない」と主張した。
そのために即時開戦の勢いを欠いたところで、憲法第九条をめぐって大論争が起こり、一週間たっても北朝鮮に対して日本は何のアクションも起こさなかった。
たまたま、ミサイルが北海道の無人地帯に落ちて被害者が出なかったため、アメリカもまだ動いていない。
だが、これから戦争になるかもしれない。
開戦しなくとも、次は有人都市にミサイルが「誤爆」されるかもしれない。
パスポート申請が殺到し、発行は半年待ちになった。一日の出国人数にも制限がかけられた。
しかし、単身者はまだ良い。車椅子や寝たきりの高齢者を連れて国外脱出するのは、ほぼ不可能だ。
そのためか、本人の許諾がなくとも家族の申請だけで実行可能な、安楽死許可法がスピード施行された。
その裏でこっそりと、莫大な社会保障費が削られ、防衛費に充てられた。
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