1 《プレイヤー》

3/4
前へ
/22ページ
次へ
 担任の先生に話すことも考えたができなかった。話せば余計にいじめがエスカレートする可能性が高い。放課後に帰宅しても私はひとりぼっちだった。母は仕事でいつも帰宅が遅い。夕食は冷蔵庫の中かテーブルの上の作り置きのものをレンジで温めて食べる。母に相談しようにも仕事が忙しくて私にかまう余裕はなさそうだった。  そんな私にとって唯一の救いはインターネットだった。興味のある情報がいつでも手軽に得られるしメールやチャットもできるし動画も見られる。人づきあいが苦手な私には一日の中で貴重な時間だった。学校なんかなければ一日中こうしてネットサーフィンをやっているのに。  この日もいつものようにネットサーフィンをしていたら、あるキーワードが目に付いた。 《青いクジラ》―― 最初は動物愛護か何かのサイトなのかと思った。興味津々でキーワードをクリックしたらパソコンの画面上にディープブルーの海の中をゆったりと泳ぐ巨大なクジラの写真が表示された。どうやらこれがトップページらしい。写真の下には黒をバックに禍々しい赤い太字でこう記されていた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加