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(※以下、途中で飽きるまで金剛寺によるどうでも良い自伝的ナレーションが入ります。)
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我輩の名前は金剛寺盆吉。毛はもうほぼ無い。
年齢は59歳。定年を間近に控えた、高知市役所勤めのしがない窓際公務員だ。
元々は石川県は金沢の生まれだったけれど、父親の転勤に伴い、幼少期にここ高知県へと引っ越してきた。
ーーというのは建前で、母親に愛想を尽かされた父親が、三行半を突きつけられ、故郷である高知県へと私を連れて逃げ帰ってきたというのが真実だ。
母親には既に他に好きな人がいて、父親と別れて結婚するのに、私の存在を相手の男性の両親が受け入れてくれなかったらしい。
実の子供よりも好きな男を選んだ訳だが、愛想を尽かした男の子供を育てる母親の姿を想像すると、自分のことながら、今となってはそれも致し方なかったように思う。
うちの両親は、加賀百万石の地で夫婦となったものの、前田利家とお松の方のようにはなれなかった。
よく高知の女性も金沢の女性も強いという意味の表現がなされるが、結局はどこに住んでいたって、女性は男性よりも強い。
隣りの部屋でいびきをかいて寝ている香川県出身の恐妻依子をこっそり見つめながら、そんなことを思う今日この頃だ。
最近は歳をとったせいか、少し動くだけで身体の節々が悲鳴を上げる。
夜にしたって、20時をまわれば自然と瞼が重くなってくる始末。
それなのに、自分が所属している課が四国八十八ヶ所安全対策保全課という一風も二風も変わった課なものだから、夜中に臨時業務というものをこなさなければならない。
歳だからお役御免という訳にはいかない仕事なだけに、夜中に家族の目を忍んで出かける度につい溜息をついてしまう訳だ。
臨時業務とは、平たくざっくりと言えば、魑魅魍魎を封じ込めておく作業である。
晩秋の夜風は、禿げあがった頭には既に堪える寒さだ。なので、黒のニット帽、それにダウンジャケットを着用して家を出た。
こき使うのに丁度適任だった道頓堀君が、松山市役所に臨時出張中ということもあり、必然的に自分へと臨時業務がまわってくる。
綾小路君は頼りになるものの、あまり臨時業務をさせると、次の日の昼間の機嫌が悪くなる。だから、道頓堀君が抜けた分の穴埋めは望めないのが現状だ。
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