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「疲れたでしょ」
そう言って、お義母さんがお茶を運んできてくれた。
廊下を挟んだ向かいの部屋からは、ほたるのキャッキャと楽しげな声と、バタバタと走り回る音が聞こえてくる。
「時間は掛かりましたけど、色んな人に出会えて、航平さんの事も思い出して、楽しかったです。電車に乗ってる人にも、様々な人生や想いがあるんだなぁって」
「そうね。電車は沢山の人生を乗せて走ってるんだと思うと、不思議な気持ちになるわ。そう言えば、麻衣子さんと出逢ったのも南海電車だったって、航平から聞いたことがあるわよ」
航平と出会ったのは、大学を卒業する年の春だった。
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