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どもそういう連中は、相手の彼女ーー今の妻ーーの絶妙な根回しがうまくいったから、なんとか社長から結婚を許された――って、単純に信じてるわけ。
ところが、事実はすげえちがくて、いまだに思い出すと笑う。笑ういながら頭にくる。
彼女の妊娠がわかるちょい前に、俺も社長も、最強のマネージャーも仲間たちも、みーんなでおんなじ夢を見たことがあったんだ。その夢は、成長したっぽい俺の娘が、なんでか娘だってはっきりわかってるんだけど、ピラミッドみてえなのが建ってる海辺で、得体のしれねえやつらの生贄にされるってやつ。3人組のミイラみてえな化け物が船に乗ってバンド組んでて、娘はそのメンバーに無理やり加入させられるって、なんかそこだけ芸能界の事情みてえにリアルで、いやな夢。そこへ、もう一人の誰かが来るとこで終わってた。
その翌日に事務所から呼び出しくらって、騒然となったね。マネージャーのMさんが超マジな顔で言ったんだ。
「辰堂くんの娘さん、生まれたいようだから、ぜひ、生まれさせてあげて。でないと世界が……ファンタジーのドラマみたい。だけど、本当だと感じるの」
社長も大真面目にうなずいてて、内心ヤバかった。俺も そう直観してもんで。
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