chapter1

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 投げ出されていた翠の手を掬い、芳に自分の高ぶりを握らされる。先端からとめどなく溢れる液体で濡れそぼって、熱く硬く張り詰めていた。 「先っぽの、一番感じるとことか……」 「ひ! やだ、も、ばかになるぅっ」 「ならないよ。だって翠は……」  ――気持ちいいこと大好きなオメガだもんね?  そんな芳の声もろくに聞こえず、翠は全身を痙攣させる。どこもかしこも敏感になって、内部をこする芳の欲望に本当に馬鹿になってしまいそうだ。  止めてほしいと思うけれど、気持ちいいから止めてほしくない。  気持ちよすぎて止めてほしいと思うけれど、もっと気持ちよくなりたい。  いじめてほしい。もっとひどいことをしてほしい。翠の頭の中は、そんなはしたない感情でいっぱいになる。  いいところを突かれるたびに制御を失った体が、芳を搾り取るように締め付ける。芳は内部の抵抗を楽しむように強引に腰を進めてきて、串刺しにされる感じに酔い、また内部を震わせる。 その繰り返しに快楽がどんどん上乗せされていく。 「はあ、あ、あ、イク、イク!」 「……俺もそろそろ、かも」  ラストスパートとばかりに芳の動きが強くなった。太く逞しい欲望が、翠の濡れた媚肉をこじ開けて、熱を点す。 「あ、あ、あーーーーーー!!」  波に浚われるように翠の意識は真っ白になった。芳の先端から迸った熱い飛沫がぬかるんだ後孔を染める。  その晩、それから何回絶頂させられたのか、途中から数えられなかった。
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