6/16
前へ
/19ページ
次へ
怪人と少女からある程度離れた高台に避難し、甲はほっとため息をつく。 -助かった。 ふと振り返ると、軽やかに空を舞う少女の背中と、怪人が戦っているのが見える。 怪人の手の届かない位置からの攻撃。 合理的かつ安全な、彼女の最善策。 しかしそれが慢心を、油断を産み、隙となったのかもしれない。 怪人が足元の瓦礫を手に取る。 少女は死角になっているのか気が付かない。 危ない、と甲が叫ぶ間もなく。 投げられた瓦礫が、少女にぶち当たる。 はじき飛ばされた少女は、幸か不幸か甲の方角に。 駆ける。バカなことと分かっていても。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加