1話 私

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ある日学校から帰ったら、知らない男の人がいた。 男の人がいるのは珍しいことじゃないけど、いつもは部屋でセックスしてるのに、その人、台所前の小さいテーブルにいた。 なんかお母さんと話してる。 うちは小さい2K。 私はその人に頭下げて自分の部屋もどきに行こうとした。 お母さんに呼び止められた。 「ほら、ね、うちは年頃の娘もいるから」 「ふん、で、お金にさせるのか?」 「居なくなると児童手当もらえなくて困るから、貸し出すわ!どう?」 「……児童手当なんて数ヵ月に10万程度だろうがよ。500万、どうやって返すんだよ?」 「………まあ、私もまだ風俗で働けるし、娘もやらせればなんとか……」 なんだか意味わかんないけど、お母さん、この人に借金してるのはわかった。 金額は500万近く。 で、私と風俗して返すつもり。………まあ、そんなとこだろう。 取り立てに来たって事はずっと返済してないんだろうな。 その男の人、なんか電話かけてた。 それでお母さんに 「あんたはもううちの知り合いの風俗行って貰うからな。娘はまだ18未満だろう?…うちが貰って行くから、とりあえずそれでいいな」 お母さん、項垂れて 「もう、それしかダメよね……わかりました」 って、返事した。 あのさ、私が意味わかんないんだけど、私、どこかで働かされるのかなあ? なんだか知らないうちに荷物まとめさせられて、私とお母さん、男の人の車に乗せられた。 何してんのかな、このろくでもないお母さんは。 私とお母さん、あるビルの前で降ろされて、ビルの中に入った。 ビルの中、こじんまりとしてるけど、会社みたいな感じで、その男の人に連れられて奥の扉をノックした。
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