11話 居場所

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「私の口から言えるの、将高は赤井さんに由美さんの事で罪悪感があって、私を赤井さんに差し出してるって事……それだけ」 「……待って、……早川は『罪悪感』で……俺が桜ちゃんに迫るのを許してるって事?」 「………私は何も言わない。言いたくない。……気になるなら、由美さんにちゃんと聞こうよ……私も『真実』だけ知りたいから……もう、私も2人に挟まれるの、苦しいから」 「………桜ちゃん、由美のとこ、行こう」 赤井さんの顔つきが変わってた。 あたりまえだよね。 将高から『お情け』みたいなもんだもん。 だけどもう2人の間に挟まれるの、本当にイヤ。 私は私でいたいから。事実は事実で受け止めたいから。 赤井さんに促されて、車に乗った。 大通りから細い道、細い道に入って、また車を止めて歩いて、由美さんのいるアパートに向かった。 赤井さん、真剣な顔してた。 赤井さんが奥の部屋をノックした。 「おい!テツ俺だ。開けろ」 「は、はい!」 あのイカツイ人が扉を開けた。 奥に由美さん居た。 赤井さん、中へ入って、私も続いて入った。 由美さん、布団に横になってた。 私達が来たのに気づいて、起き上がった。 「んー、赤井さんじゃん。久しぶり……何?」 赤井さん、由美さんの前にしゃがみ込んだ。 私もその横に座った。 「由美、聞きたい事がある。…ちゃんと答えられるか?」 「ん、何?」 「………お前が早川とセックスしてた経緯を教えてくれ」 淡々とした口調だけど、反論を許さないような強い口調だった。 「……今更……まあ、いいけど………最初に私が『薬』やってんの気づいたの早川さんよ。……私、赤井さんが離れるの怖かったの。…あの時は赤井さんに囲われてたからね。………口止め?そうね。口止めだな。『赤井さんには言わないで』って、私から体の関係迫って口止めさせてたの。……赤井さんが私を本気で好きだって知った時、早川さん、焦ってたな。焦って私から薬やめさせようとしたり、戻そうと必死だったわ。……だけど私、薬やめらんなくて、早川さんが煩わしくなった。……だから自分から全部暴露したの。まさか赤井さんと早川さんが喧嘩になるなんて思わなかった」 「待てよ!じゃあ早川と関係してたのは……」
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