第1章 だって崇生さんはプリンが好きだもの

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うららかな土曜日の昼下がり。 都心から離れてはいないが緑が多い場所に建つ高級マンション。 シンプルモダンのアイボリーとチョコレート色の内装。 新婚が住むには広すぎるリビングの中。他人からしたら痒くなるような言葉を、新妻は可愛らしいお口とかわいい声で言っている。 「だって、崇生さん、プリンが好きだもの」 「す……好きだよ////」 「良かったあ!」 「……」 崇生の前で、若妻であるきららは、くるる~んっと回った。 フリルやレースもくるる~んと回る。 大きなフリルが裾にたくさんついているエプロンだ。レースは肩紐についている。そしてピンク色のリボンとハート型の胸当て……。 (かわいい、かわいいよ、きららちゃん!) 崇生の心は千々に乱れた。 が、しかし、きららは崇生がプリンを好きだと思っている。 (確かにプリンは好きだ!だがそれ以上に君が好きなんだ、きららちゃん!) 「はい!召し上がれ!」 目の前に、かわいい模様のガラスプレートが出された。 黄金色のプリンが揺れる。艶めいた飴色のカラメルが光っている。そして生クリームとチェリーが飾られていた。 (ああ!きららちゃんがかわいい!) 崇生は変態だった。
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