2.経済部観測

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2.経済部観測

「探偵ごっこか。35歳にもなって」 「うるせ」 昼前に一階にある喫茶シベリヤで、経済部の元同僚、平尾に会った。メタル・テンの情報をもらうためだ。 「まだ、みそぎ中だろうが。たいがいにしとけって」 ったく、大新聞社はどいつもこいつもリーマンばかりで。 「いいから、聞かせろ」 「何も出ないんじゃないかな。業界じゃ超優良の二重丸。三友から財務部長と営業本部長も受け入れてる。大手出身が要に据えられ、コンプラも万全」 「違法残業とか」 「ないねぇ。工場もパイプセンターも8時には鍵絞めるし、本社は22時で完全消灯、ロックアウトだからなぁ」 「取引先の評判は」 「すごいね」 「何が」 「神だ仏だって称える話ばかり。商社金融で決済ずらして救ってもらったとか、リシャーかけなきゃなんないストック、正価で引き取ってくれたとかさ」 「三友相手の数字、インチキねえか」 「だから、そんなことする社風じゃないって。社長は善人を絵に描いたようなお人だ」 「う~ん、でも自殺してんだよ。パワハラやネグレクトとかねぇか」 「いやいや、元々うつで会社辞め引きこもってた社員だろ。情けかけて彼を雇ったメタル・テンが被害者ともいえるんじゃないかな」 「なら何で会見、開く?」 「そこがあの会社なんだよ。律儀、バカ正直」 「んな、何もねぇか・・・」 「ないなぁ」
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