嘘だらけの金曜日が。

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最後のページには、新聞の切り抜き以外にも何か挟んであった。 まず、色褪せた写真が一枚あった。 それは、小林と山田太郎さんのツーショットだった。 写真の小林は、かなり若かった。そして、山田太郎さんは……いまの僕そっくりだった。 なるほど、人違いされる理由も納得いった。 それから、写真と一緒に手紙も挟んであった。 『山田へ』 もちろん、『山田太郎へ』という意味だが、僕は思わず手紙を手に取り、読み始めた。 『山田へ 元気にしてるか? 俺の方は相変わらずだ。 お前が死んでからもう20年以上経つのに、 今更手紙なんて変な話だよな』 えっ…… 僕は、小林の顔を見た。 小林は、幸せそうな顔で眠っている。 僕は、続けて手紙を読んだ。
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