嘘だらけの金曜日が。

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『お前が死んだって聞かされたときは、本当にショックだった。まさか癌だったなんて……なんで俺に言ってくれなかったんだよ? まだお前と喋りたいこともいっぱいあったし、お前と一緒に行きたい店だっていっぱいあったんだぞ? それに……入社してから一緒に考案してきたロボット。なんで実用化される前に開発者が死んでるんだよ? お前が一番楽しみにしてたじゃないか…… お前が死んでから、災害救助ロボットは何回も流されそうになった。 でも、俺は諦めなかった。お前よく言ってたよな? 「絶対役に立つ自信があるから、絶対完成させるんだ!」って。 お前が自信あるって進めてきたものだ。俺も自信をもって引き継ぐ。そう思って死に物狂いでやってきて、どうにか認められたんだ。 お前があの当時諦めなかったから、俺も諦めずにここまで来れたんだ。 お前には、本当に感謝している。もし、お前が生きていたら……直接礼を言いたい。でも、それは叶わない。だから、せめて文書に残しておこうと思って手紙を書いた。 ありがとう。 本当にありがとう。 また墓参りに行ったときに、俺の話、聞いてくれよな? 小林より』 「山田……」 眠っている小林は呟いた。
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