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** 僕は、店を出て帰路についていた。 終電はとっくに過ぎていて、歩いて帰ることにした。 ここから家まで歩くには若干距離があるが、今日は歩きたかった。 結局…… 嘘だらけの金曜日になってしまったな…… 街灯に照らされた道を、ポツポツと歩いていく。 本当にいいことをしたかは分からない。 僕は、山田太郎さんじゃないし……山田太郎さん本人が本当のところどう思っているか知る(よし)もない。 ただ……こんな嘘だらけの金曜日が、与えるものもあるんだ。 僕は、立ち止まり、遠くの空を見つめた。 名前も知らない星々が、僕を見つめていた。 僕の人生は、まだ始まったばかりだ。 僕は、ゆっくりと確実に歩き出した。
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