第1章

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静かに大人達のやり取りを聞いていた。施設でイジメられても誰も助けてくれなかった。ご飯も少ししか食べさせてもらえなかった。だから僕は普通より小さい。どこにいても…僕は厄介者扱いだ。 どうやって生きていくつもり?僕は自分に問いかける。奥さんがおじさんの指を折った。おじさんは物凄い悲鳴をあげてる。酷い人をやっつけるのは…良い事だよ。僕はそう思った。奥さんが右手の指を端から折っていく。旦那さんが左手の指を端から折っていく。 ああ…煩い。おじさんの悲鳴が煩くて気分が悪くなった。ちょっと目を閉じたその僅かの時間で、10本の指はもがれて、おじさんの足元に並べられていた。 許しを乞う相手を間違えているおじさんは、悪かった何でもするから許してくれと旦那さんと奥さんに言っている。 「私達に謝られても、それを受け入れる事は出来なくてよ。当事者じゃないんですもの。私達はあなたが傷つけた人達の望みを叶えてるだけなんですのよ。さあ、次はどこにしましょうか?」 おじさんは苦痛を味わってる。まだ意識はある。そして、台の奥に巨大なミキサーがあるのを見つけて恐怖のどん底に落ちていくのが見ていてわかった。
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