第1章

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突然、電気が消えた。どこかに雷が落ちたみたいだ。旦那さんも奥さんも慌てる事なく、ちょっと待っておいでと言って、旦那さんがロウソクを立てて火をつけた。お洒落なキャンドルスタンドは暗闇を走る稲光とよく合っていた。 薄暗い部屋で、ソファーに座る僕達のぼんやり見える顔がちょっと可笑しかった。 「あら、この子ったら、怖くないのかしら。」 「純、暗い部屋で怖くないかい?」 「はい…平気です。」 「まぁ、頼もしいわね。でも、隣にいてちょうだいね。」 くすっと笑う奥さんは、可愛らしい人なんだと思った。ロウソクの灯りに揺れる3人の影。こんな事も僕は嬉しいと感じている。 「で、純。さっきの話だが、何か思う事はあるかい?心のままに、正直に話して欲しい。私達の行いを見ていただろ?殺人鬼に見えたかい?」 僕は、そうは見えなかったと首を振った。 「あの…僕、よくわからないけど、あのおじさんを可哀想だとは思わなかった。お二人は正義の味方なのかな…って思いました。」 「まぁ!あなた、正義の味方ですって。なんて可愛らしい事をいうのかしら。 ねぇ坊や、私も主人もね、私達の子供になって欲しいと心から思っているのよ。」 奥さんの言葉を聞いて、そうだよって旦那さんが優しい顔をして微笑んでる。ロウソクの灯が温かく感じたのは初めてだった。
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