第1章

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僕の部屋を用意してくれた。ふかふかのベッド、それから洋服も必要な物は全部揃えてくれた。夢のようだ。嬉しくて有りがたくて、いくら感謝してもしたりない。 「純。出かけるよ。準備は出来たかい?」 あれから、どんな手続きをして、園長先生がどういう反応をしたのか経過はわからないけど、僕は龍崎の養子になった。 「おとうさん。どこに行くの?」 「くすっ。坊やったら。ワクワクしているのかしら?」 家族で出かけるのが嬉しくて堪らなかった。何度繰り返しても嬉しくて堪らない。みんなで一緒に楽しい時間を共有出来る事に感謝した。 それから暫くして、出かけた先で信じられない光景を見た。僕がいた施設は黄色のテープが張られて立入禁止になっている。何かあったの? 「ねぇ…おとうさん。おかあさん。あれは…なに?」 「純。今日は園長先生を迎えに来たんだよ。いいかい?純は私達の子供だよ。私達は純を大切に思っている。何が起こっても私達と一緒だ。わかったね?」 「うん。僕、おとうさんとおかあさんが居れば何もいらないよ。」 「いい子ね。私達も同じよ。本当になんて愛おしいのかしら。ここにいらっしゃい、坊や。」 おかあさんは僕を抱きしめるとおとうさんを見て頷いた。おとうさんが園長先生を迎えに来たと言った時に、これから何が起きるのか僕には想像がついたんだ。
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