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「どの指から、もぎましょうか?」
雨から逃れる為に忍び込んだ別荘のガレージ。地下に繋がる階段を降りて、小さなスペースを確保して小さく踞った。
聞こえてきた声に心臓が煩く反応する。どうしよう…離れているのに、心臓の音が聞こえてしまうかも知れないと思う恐怖が余計に心臓を煽る。息を殺して暫くじっとしていた。気配を感じて振り向くと、声の主が立ってた。あまりの驚きに言葉にならない声をあげる。
「何をしているの?」
ただ、ひたすら首を振り続けた。
「いけない子。」
真っ赤な唇が弧を描くのが見えた。目は笑っていない。屈んで僕を覗き込むと長い髪がサラリと垂れた。
「あなた。子供がいるわ。」
「おやおや、どこから紛れ込んだんだい?」
この人達は夫婦らしい…。
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