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上品な装い…渋くてカッコいい旦那さんと綺麗でエレガントな奥さん。僕とは住む世界が違うようだった。
「君はどこの子だい?」
踞ったまま顔を上げて、時が止まった。どうしよう。警察に連絡されたら終わりだ。
「た、助けて下さい。」
「どういう事だい?」
「あなた。臭うわ。まず、この坊やをお風呂に入 れてあげた方がいいのではなくて?」
「そうだね。この雨だ。取り敢えず部屋においで。それから、家に連絡を入れるといい。」
この親切な夫婦を僕は怖いとは思わなかった。さっきの恐怖は不思議な事に消えていた。
「あなた。続きは坊やの話を聞いてからにしましょ。」
「ああ。そうだね。ほら、立って。私がお風呂に入れてあげるよ。まずは、お風呂に入って温まった方がいいね。さあ、行こう。おいで。」
優しく言われて僕は言われるまま付いていった。綺麗に洗ってもらって綺麗な服を着せてもらった。子供の服なんてどうしたんだろう…ここに子供がいるのかな…。
旦那さんとリビングに行くと奥さんが食事の準備をしていた。
「あの…ありがとうございます。」
「あら、きちんとお礼が言えるのね。偉いわ、坊や。」
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