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旦那さんが、こっちにおいでと僕を連れて行く。大きなダイニングテーブルが美味しそうな食べ物でいっぱいになってる。僕を椅子に座らせると、旦那さんも座った。奥さんも来て座ると、3人で食卓を囲む家族みたいだと勝手にドキドキした。
「さて、まずは自己紹介をしよう。私はこの家の主で龍崎 聡一郎だ。そして、こちらが私の愛する妻の杏奈だよ。君の名前は?」
「僕は…相馬 純です。」
「いくつだい?」
「9歳です。」
「まぁ、坊や、それで、どうしてここに?」
僕は今までの事を正直に話した。親切に家に入れてくれてお風呂まで入れてくれて、綺麗な服を着せてくれたこの人達に正直に話して、ガレージに忍び込んだ事を謝った。どうか警察に連絡しないでとお願いした。そうしたら旦那さんは、悪いようにはしないから安心しなさいと言ってくれたんだ。
「事情はわかった。では、冷めないうちに食事にしよう。純、遠慮しないでたくさん食べなさい。」
「そうよ。坊やの為にハンバーグを作ったのよ。たくさん食べなさいね。」
旦那さんが僕を名前で呼んでくれた。ただ名前を呼ばれただけなのに…それが嬉しくて、人として扱ってもらった気がしたんだ。
「親切にしてくれて…ありがとうございます…。いただきます。」
さっき会ったばかりの僕にご飯をご馳走してくれるこの夫婦の優しさが嬉しくて…泣いてしまった。
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