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欲しい…?何を言っているんだろう…僕は驚きすぎて黙った。
「杏奈。純は物ではないんだよ。さっき話を聞いただろ?欲しいという表現は相応しくないよ。純、驚いたね。杏奈は純が気に入ったと言っているんだよ。」
「はい…。」
「あぁ、そうね。ごめんなさいね。坊やが酷い目にあったのに…その人達と同じように聞こえたかしら…。違うのよ。」
「あの…大丈夫です。その…ありがとうございます。僕、そう思ってもらって嬉しいから…。」
旦那さんは僕に、施設に帰りたくない気持ちは変わらないかと聞いた。僕は絶対に帰りたくないと答えた。施設にいても、まともに食べさせてもらえない。戻ったら里子に出される。帰りたくない…。だけど、子供の僕が行く場所なんてない。どうしたらいいのかわからなかった。
「では、私達の子供になるかい?」
「えっ!?」
「さっき会ったばかりだし、驚くよね。だが、事情が事情だし、私達は純が酷い目に遭うのを見過ごす気はない。私達の事を知らないし、不安だろうが、戻るよりも心の安定は保証するよ。どうだい?考えてくれるかい?」
突然の事に頭の中はグチャグチャだ。僕を旦那さんと奥さんの子供に?
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